新しい国税不服申立制度に関する本を上梓しました

            
審判官仲間と共同執筆した書籍「税理士が使いこなす改正国税通則法」(清文社)を上梓しました。国税審判官を経験した税理士が、納税者の権利救済という視点から、課税要件論、国税不服申立制度を解説するとともに、事例研究なども行った、実務的な内容です。


 

中国子会社との間の取引に関する事後的調整金の支払い4

            
中国製造子会社に対する仕入れ値増し金の支払について寄付金課税を行った国税不服審判所裁決事例の解説最終回は、本事案が示唆する税務争訟実務のポイントを解説します。

本事案が示唆する税務争訟実務のポイントは、大きく2つです。
 
! 行政手続である審査請求は、職権主義であること。
= 審理の主導権は審判所にあります。審判所は、審査請求の当事者である納税者(審査請求人)、課税処分庁(原処分庁)のいずれの当事者も主張しない事実であっても、判断の基礎とすることができます。
 
! 納税者は、主張に沿ったエビデンスを備えておくべきこと。
= 紛争時に証拠とされる契約書を作成することはもちろん、内容は主張と整合すること、契約金額は根拠に基づき合理的に算出されたものである必要があります。
 
順番に解説します。
 
●◎● 税務争訟実務のポイント ●◎●

中国子会社との間の取引に関する事後的調整金の支払い3

            
日本の親会社が中国の製造子会社に対し、仕入れ取引に係る値増しとして支払った金員の性質について、審査請求人であるX社と原処分庁(管轄税務署)それぞれの主張と、審判所の判断をみてみましょう。
 
4 主 張
審査請求人X社と原処分庁の主張は、それぞれ次のとおりです。

中国子会社との間の取引に関する事後的調整金の支払い2

            
中国製造子会社に対する仕入れ値増し金の支払について損金算入を否認し、寄付金課税を行った国税不服審判所の裁決事例解説の2回目です。
 
本件の事実関係を見てゆきましょう。
値増し合意書の内容や、日本親会社から中国子会社に対する値増し金の支払いのみならず、中国子会社から日本親会社への送金の事実があることにも注目してください。
 
3 事実関係
X社は、中国に設立した100パーセント子会社であるA社との間で、売買又は請負の形式による加工貿易取引(進料加工・来料加工)を行っていました。
 
(1)値増し合意書の作成

中国子会社との間の取引に関する事後的調整金の支払い1

            
今回は、日本の法人が、中国の製造子会社に対し仕入れ値増しとして支払った金員について、子会社の資金不足を補うための資金供与としての寄附金であるとの認定に基づき、支払額の損金算入を否認して寄付金課税を行った国税不服審判所の裁決事例を取り上げ、解説します。
なお、事例は、平成25年7月5日裁決(一部取消し。裁決事例集N0.92)を参考に、わかり易く改編したものです。
 
● はじめに

製品原価が当初見込み額より高額となったことにより、契約当事者双方が取引価格を事後的に調整することに合意して金銭の遣り取りをする、ということは、実務の要請として一般的に生じ得ることですが、かかる金銭の遣り取りについて税務調査の場面で指摘を受けた場合、その真実性・合理性を説明できなければ、納税者の処理は否認のリスクに直面することとなります。

勝てる!税務争訟

            
税務争訟は、数字(処分額)の多寡を争うのではなく、法律論争を本質とするものであることは言うまでもありません。しかしながら、訴訟に発展する前段階の税務調査対応や不服申立の場面では、争点について法的に意味のある主張を証拠に基づき適時的確に行う、という基本的な対応が十分になされず、このことにより調査が長期化したり、「見解の相違」という結果とされることが少なくありません。
 
こうしたことから、企業の税務・経理担当者のみならず、法務担当者や担当管理職のみなさま向けに、国税不服審判所の公開・非公開裁決事例を題材として取り上げ、事例が示唆する課税庁(原処分庁/国税不服審判所)の事実認定のポイントや、行政を相手方とした争訟であることの特質を解説することにより、特に法務担当者には税務争訟についての理解を進めていただくとともに税務調査対応や不服申立に対する関与の度合いを現実に強めていただき、税務争訟の場面で法律的な要点を押さえた戦略をとることができるよう、もって納税者である企業の正当な権利利益が守られるよう務めていただきたい、と考えております。
 
勝てる税務争訟
国税不服審判所裁決事例に見る★税務調査対応・不服申立の実務ポイント

白馬の王子様、現る!

            
王子様の名は、實川風(じつかわ かおる)さん
現れた場所は、東京アメリカンクラブ。
職業は、ピアニスト。
 
2015年11月、フランスで行われたロン= ティボー国際コンクールで、1位なしの3位を受賞。コンクール直前には、フランスのノアンにて開催された“ ショパン・ナイト” に出演しリサイタルを行いヨーロッパ・デビューを果たす。
 
そんな新進気鋭のピアニスト、實川風さんを囲む、演奏・晩餐会にお招きいただきました。

会を主催されたのは、村田守弘先生
いつも私たち後進専門家に研鑽機会をくださる村田先生ですが、アーティストの支援活動をされていることは、今回初めて知りました。



左から、村田塾でもご一緒させていただいているホーガン・ロヴェルズの加本弁護士/
實川風さん/私/「ちびまる子ちゃん」制作、日本アニメーション代表の石川さん
お顔の広い村田先生の呼びかけで集まったゲストの方々も多彩!

 

裁決事例に見る★処分の不当に係る審理4

            
(5) 審判所の判断について
所得税法第 150条第1項(青色申告の承認の取消)は、青色申告の承認を受けた居住者につき、同項各号に該当する一定の事実がある場合には、「納税地の所轄税務署長は、(略)その承認を取り消すことができる。(略)」と規定し、青色申告の承認の取消しについて、税務署長の裁量を認めることから、この場合の取扱基準の整備等を図ることを目的として、事務運営指針において、…∧軆駑爐鯆鷦┐靴覆ぞ豺腓砲ける青色申告の承認の取消し、∪婆浬霙垢了惻┐暴召錣覆ぞ豺腓砲ける青色申告の承認の取消し、1ぺい、仮装等の場合における青色申告の承認の取消し、ち蠹の事情がある場合の個別的な取扱い、ヅ纏卍∧輅歛犬両鞠Г亮莨辰靴叛朕Э醜陲両鞠Г亮莨辰靴砲弔い董定めています。なお、当該事務運営指針の趣旨は、「個人の青色申告の承認の取消しは、法第 150条第1項各号に掲げる事実及びその程度、記帳状況等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしくない場合について行うこととし、この場合の取扱基準の整備等を図ったものである。」旨定められています。

裁決事例に見る★処分の不当に係る審理3

            
(4) 審判所の判断
争点1の青色申告の承認を取り消したことについての審判所の判断は、それぞれ次のとおりです。
 
 (イ) 青色申告制度は、誠実かつ信頼性のある記帳をすることを約束した納税義務者が、これに基づき所得額を正しく算出して申告納税することを期待し、かかる納税義務者に特典を付与するものであり、青色申告の承認の取消しは、この期待を裏切った納税義務者に対しては、いったん与えた特典をはく奪すべきものとすることによって青色申告制度の適正な運用を図ろうとすることにあるものと解されるところ(東京地方裁判所昭和38年10月30日判決)、この青色申告の承認の取消しは、形式上所得税法第150条第1項各号に該当する事実があれば必ず行われるものではなく、現実に取り消すかどうかは、個々の場合の事情に応じ、処分庁が合理的裁量によって決すべきである(最高裁判所第一小法廷昭和49年4月25日判決)。

裁決事例に見る★処分の不当に係る審理2

            
3 処分の不当に係る主張が認容された事例

処分が適法であっても不当として取消された事例として、青色申告の承認取消処分を取消した、国税不服審判所平成22年12月1日裁決事例をレビューします。

(1) 事案の概要
本件は、原処分庁が、審査請求人(個人)に対し、〇業に関する帳簿書類の提示を求めたところ、作成していないとの理由で提示されなかったなどとして、青色申告の承認の取消処分をし、∪禅畤佑叛禅畤佑株主である同族会社との間の不動産の賃貸借に係る取引が、請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果となるとして、所得税法第157条《同族会社等の行為又は計算の否認等》を適用して所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をしたことから、請求人が、これらの処分の全部の取消しを求めた事案です。

(2) 争点
本件の争点は、次のとおりです。

争点1 原処分庁が、現金出納帳などの帳簿が一切作成されていないとして青色申告の承認を取り消したこと及び更正通知書に更正の理由が附記されていないことは、違法又は不当か否か。
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